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【Fender Japan】 JVシリアル

公開日: : 最終更新日:2018/11/12 Fender Japan, 音楽・楽器

Made in Japan

フジゲン製~それはJVシリアルから始まった~

1970年代から80年代前半にかけて、日本のエレキギター業界はコピーモデルが氾濫していました。

コピーを手掛けていたブランドとしては、例えば「グレコ」「トーカイ」「フェルナンデス」アリアプロⅡ」などが、こぞってコピー完成度を競争していたのです。

同時期の本家フェンダー(USA)といえば、「アメリカ楽器業界の低迷」「ドル高による輸出の低迷」、そして「日本製のコピー製品の台頭」という問題を抱えていました。

本家フェンダー(USA)もその対策として、日本国内での子会社設立という道を探ります。

アメリカ国外に生産拠点を持つことでドル高を解消、新拠点で低価格のフェンダーを生産しコピー品を駆逐、、という目論見もあったようです。

そして白羽の矢が向けられたのが、当時「NCルーター」をギター製作のために世界で一番最初に使いこなした会社「富士弦(フジゲン)」でした。

当初は「富士弦(フジゲン)」の他にも「マツモク」や「モーリス楽器」にも打診されていたようです。

富士弦(フジゲン)は、当時グレコのスーパーリアルシリーズを手掛けていて自信を持っていたので、この話は一度断ったようです。

しかし、そのグレコを卸・販売していた神田商会が間に入って富士弦(フジゲン)に決まったという経緯があります。

本家フェンダーのもう一つの狙いとしては、完成度の高いコピーモデルを製作していた「富士弦(フジゲン)」と手を組むことでいくつかのメリットを見込んでいたと思います。

1970年代後半から89年初めまで、本家フェンダーUSA製品の加工・組込み精度の低下が指摘されていました。

そういった当時の本家フェンダーUSAの技術力の低下という事態に、日本の高い技術力が必要だったのかもしれません。

なによりその後の高い収益性の面や、コピー品の抑止になるという面もあったのだと思います。

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フェンダー・ジャパン設立

1982年3月11日に東京・九段下ホテル・グランドパレスにて記者会見が行われ、同年4月に正式契約が結ばれます。

「フェンダー」「神田商会」、フェンダーの輸入を手掛けていた「山野楽器」の3社が出資し、合弁会社「フェンダー・ジャパン株式会社」が設立されました。

正式な会社発足は、同年5月上旬、新製品の店頭販売は5月下旬頃と言われています。

そして製造を担当するのが「富士弦(フジゲン)」という流れになったのです。

この時、フェンダーの経営トップはビル・シュルツ氏でした。

このビル・シュルツ氏ですが、元々はヤマハUSAの経営を担当していましたが、CBSにヘッドハンティングされたという経緯があります。

JVシリアル

フジゲンは1982年4月よりFender Japanとしてギターやベースを製造し始めます。

ここで最初期のフェンダージャパンの個体を、じっくり見ていきたいと思います。

先ずはこちらのST57モデルを見てみましょう。

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フェンダージャパン最初期の特徴として、先ずはシリアルがあげられます。

ネックプレートのシリアルがJVから始まる5桁の数字です。

この個体は「14000番台」です。(下2桁は伏せています)

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ヘッドにMADE IN JAPAN

最初期に限ってですが、ヘッドにMADE IN JAPANのロゴが小さく入っています。

しかし国内ではこれが不評だったらしく、このロゴを削ってしまう人もいたようです。

後にヘッドにロゴは入らなくなり、かわりにネックの根元にMADE IN JAPANのロゴが入るようになりました。

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「Fender」スパゲティロゴも、オリジナルとはサイズが違うということで、1984年ごろから改められたようですね。

ネックデイト

ネックエンドに鉛筆で記されています。

この個体は「1982年9月13日」に製造されたものですね。

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当時の職人さんが直接書き記していたのだと想像すると何だか感慨深いですね。

レッドボビン・ピックアップ

JVシリアル期の最初期によく見られるのが、レッドボビン・ピックアップです。

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ピックアップ自体にも「82」と記されているので、おそらく「82年」を意味するのではないのかなとは思いますが正確な解読は分かりません。

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正確にはレッドボビンの前の段階で、短期間ですがグレーボビンのピックアップ(フラートン・ピックアップ)が採用されていました。

おそらく82年4月から少しの期間はグレーボビンだった可能性があります。

少なくとも82年9月の時点では、グレーボビンからレッドボビンに切り替わっていることがこの個体で分かりますね。

しかしその後の83年製のJVにもグレーボビンがのっていたりと、JV期には個体によりグレーボビンとレッドボビンが混在しているようですね。

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ネックポケット

ネックポケットには、グレード別にスタンプが押されています。

品質が高い順に「A」「B」「C」となっています。

当時の定価で11万5千円のクラスが「A」スタンプ。

8万5千円のクラスが「B」スタンプ。

6万5千円のクラスが「C」スタンプになります。

この個体は「C」スタンプですから、一番廉価なグレードですね。

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当時の関係者によると、生産ラインを流す際の目印として便宜的に割り振られたものらしいです。

ヘッド裏シール

もうひとつグレードを見分けるものとして、ヘッド裏にシールが貼られています。

もっとも経年変化によりシールがはがれてしまう場合が多いです。

ラッキーなことに、この個体にはまだシールが残っていました。

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青い丸型シールに「65」と印字されていますね。

これまでの情報から、この個体のモデル名は「ST57-65」ではないかと思います。

アッセンブリ

この個体のアッセンブリは、ビニール線などの配線材が採用されています。

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おそらくポット類も、オリジナルを保っているのではないかと思います。

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さすがにセレクタースイッチにはガリ等の症状が有りました。

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ボディの塗装

一番高いグレード(定価11万5千円)はトップラッカーです。

この個体は廉価クラスになるのでボディはポリ塗装でした。

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フジゲンの気概

最初期のカタログに、フジゲンの気概が込められた一文が見受けられます。

「ストラトだけでも243本のオールドがフェンダーに帰ってきた。ヴィンテージ・フェンダーを完璧に再現するために、フェンダースタッフはできるだけ多くのオールドを集めました。ストラトだけで243本も里帰りし、当時のエンジニアたちと劇的な再会をしたのです。非常に膨大な資料の中からオリジナルの青写真(図面)を捜し出し、分解したギターと比較しながらそれぞれの特徴をチェック。ストラトで約100ヶ所、テレキャスターで70カ所もの部分が、明確になりました(例えば、初期のストラトのピックガードは一見白の1ピースのようですが、実は薄いプラスチックを重ねた2ピースだった!ということまでもね)ヴィンテージ・シリーズでは、オールドフェンダーのエッセンスを正確に継承し、随所に再現しました。それは、形だけでなく味わいのあるドライなサウンドや弾き応えや弾きごこちについても、同様です。」

「なぜヴィンテージ・シリーズのギターとベースは57年モデルなのか、62年モデルなのか。ごぞんじのようにテレキャスター(ブロードキャスター)は1948年に発表されました。ストラトは54年ですし、プレシジョンベースは51年(スプリットピックアップモデルは1954年)、ジャズベースは1959年です。でも、ヴィンテージ・シリーズでは57年と62年モデルです。巷の噂に出てくるような、57年と62年のモデルが一番程度が良いから、ではありません。もっとアメリカ的な発想なのです。 アメリカ人を対象にした意識調査の中で、「あなたにとって50年代、60年代それぞれ一番良かった年は?」という質問がありました。結果は、50年代は1957年、60年代は1962年が最良の年であったと答えた人が圧倒的でした。 ロカビリーがはやり始めた57年、ビートルズがデビューした62年、どちらもフェンダーにとって忘れえぬ年です。メモリアルイヤーとして、ヴィンテージの品番に採用しました。」

「オールド・ストラトにつきまとうもっともらしい噂に終止符を打つ、ST57-85。オリジナル・ストラトキャスターの青写真を十分に検討し、完璧に仕上げた傑作だ。注意深くディテールをチェックしてもらいたい。ラッカー仕上げのアルダーボディ、厳選されたハードメイプルのネック、鉄材を使った味のあるブリッジ・アッセンブリー、トレモロアームの角度、ピックアップ(USA)のボールピース形状などのマテリアルとフォルム、そして特有のスクリーミング・トーン。すべてに感動を覚える’57年ヴィンテージ、ST57-85」

都市伝説の真偽

巷では「設立当初のフェンダー・ジャパンは、グレコのスーパーリアルシリーズのロゴをフェンダーに張り替えたものらしい」という都市伝説的な噂を良く聞きます。

以下、当時富士弦に勤務していた、現Sugi Guitars代表の杉本眞氏の話になります。

「ラベルの張り替えなんてとんでもない!スタート当初のラインナップは、まず、すべてサンプルを1本ずつ作り、フェンダー・ジャパンを介してUSAへ送りましたよ。サンプル製作にあたっては、事前に仕様書と各パーツが送られてきており、フェンダーUSAからダン・スミス氏が来社して最終仕様を決定し、それに沿って作ったことを覚えています。」

Fender Japan ST57-65 1982年製

以下、この個体(ST57-65)のスペックになります。
  • Body:ソリッド・アルダーボディ
  • Neck:1ピース・ハードメイプルネック
  • Fretbord:メイプル指板
  • Pickup:ヴィンテージPU×3(USA) *レッドボビン
  • Pickguard:1ピース・ホワイト

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Comment

  1. 横山 より:

    初めまして。
    私は1982年5月27日(?)製造のFender JapanST62-115 を所有しております。
    シリアルは JV00567です。
    82年の夏頃に中古で3万円ぐらいで買いました。
    こちらの言い値だったので一番安いグレードのだろうとずっと思っていました。
    もともとギブソン系フリークでしたのでストラトの出自には興味がなかったんです。
    直近の10年ほど、訳あってこのギターは手元になく
    、もうとっくに捨てられたか売られたかと思っていたのですが、ひょんな事で手元に戻ってきました。
    で、詳細を調べたのは昨年5月末に手元に戻ったあとです。
    JV初期シリアルでSat62-115であることとその意味をその時初めて知ってびっくりです。
    戻ってきたときは最後に目にしたときとまったく変わらない状態でした。
    ソフトケースにはいったまま誰も触ることも無く倉庫に眠っていたようです。

    Youtubeにそのギターで作った短いサンプル動画アップしてあります。
    動画ではわかりませんが、ボディの塗装にはウェザーチェックがたくさんはいっています。
    戻ってきたときにはまったくなかったのですが、
    再び弾くようになってから日に日に塗装の割れが増えてます。
    再会にギターが泣いているような想いがします。

    https://youtu.be/NqDbmyXG8wM

    • leopard-f31 より:

      横山さん

      はじめまして。
      コメントありがとうございます。

      なんと!
      ST62-115のJVシリアルをお持ちなのですね?
      しかも超初期の3桁ナンバー「500番台」とは!
      羨ましいです(^.^)

      You Tubeも拝見しました。
      82年の5月製造の個体ということですと、本当にフェンダージャパン創立直後のころですよね。
      今ではマニアの方々が(特に海外のファン)探している幻の1本ではないでしょうか。。

      グレコのスーパーリアルEG700の動画も拝見しました(*^_^*)
      お互い、古き良き時代の「日本製」の楽器を、良き相棒として大事にしていきたいですね。

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